カーハートの創業から現在までの歴史を徹底解説
こんにちは!SWAMP SIDE佐々木です。
今日は大人気ワークウエアブランド「カーハート」の歴史について徹底解説していきたいと思います!
そもそも、なぜこれほどまでに人気に火が付いたのでしょうか?
2010年代頃までは古着屋の定番アイテムとして、比較的手に取りやすい価格で並んでいたイメージがあります。
しかし、現在は見かけること自体も少なくなってきたうえに、簡単には手に取れない価格になっています。
これは、日本だけではなくて世界中で人気ということも、要因のひとつと考えられます。
そもそもカーハートはワークウエアなので、作りがしっかりしていて頑丈。長く着られることができます。そのため新品でもなかなかのお値段です。
これは創業当時に、労働者からの声を聞いて、商品へと反映させる。消費者目線のものづくりという信念が、労働者からの信頼関係と熱い支持を受けて、次第に拡大して現在に続いています。
100年以上続くブランドの信念と確かな品質が、世界的な古着人気とも重なって、世間にばれちゃった。というのが、僕がもった感想です。
1990年代には、ラッパーが着用したことでストリートにも進出。
その後オフィスカジュアルに適したWIPというラインも展開しています。
このブログでは、カーハートの歴史を通じて、ブランドが持つ魅力や価値に新たな視点を得ることができます。
読み終わったころにはきっと、好きだった人はもっと好きに、そうでなかった人も興味がわいてくると思います。
カーハートの創業と初期の歴史
カーハート(Carhartt)は、1889年にアメリカのミシガン州デトロイトで設立。
この節では、カーハートの創業者とその会社設立の背景、初期の製品、さらには市場での展開に焦点を当てていこうと思います。
創業者と会社設立の背景
カーハートの創業者は、ハミルトン・カーハート。
彼は1855年にアメリカ中西部のバーモント州で生まれ、後にデトロイトに移住しました。
実はカーハートは、もともと鉄道工員をしていました。
そんな彼が、事業を始めたのが1892年。
その2年後の1894年には「ハミルトン・カーハート&カンパニー(Hamilton Carhartt & COMPANY) 」 を設立して、家具や手袋の卸売業をしていました。
彼は次第に、労働環境で求められる堅牢な作業服を作りたいと考えるようになります。
そして1989年、会社名を「ハミルトン・カーハート・マニュファクチャ」に変更して、ワークウエアの製造に乗り出します。
はじめは4台のミシンと5人の従業員だけのとても小さな始まりでした。
初期の製品と市場
カーハートの商品は、船の帆やテントにも使われていた丈夫な素材を使用したワークウエアを製造していました。
しかしながら、はじめのころはあまり売れませんでした。
悩んだハミルトン・カーハートは、自社製品の向上とニーズの把握をするために鉄道労働者や建設労働者の声を集めることにしたのです。
※これは、別の記事でも紹介した創業当時のディッキーズと同じですね。
労働者の声をもとに、
・耐久性(トリプルステッチ・銅リベット・ボタンホールの強化)
・着心地(ワイドレッグス・サスペンダー・ビブデザイン※1)
・機能性(工具用ポケット・ハンマーループ)
※1 カーハートはビブデザインの特許を持っています。
などを取り入れました。
そうして作られたコットン素材を使用したオーバーオールは、時代を超えた現在でもカーハートの定番アイテムとして、作り続けられています。
労働者の声を反映させて作ったカーハートの製品は、強度と耐久性を兼ね備え、厳しい労働条件にも耐えることができました。そして。徐々に鉄道業界や建設業界で広く受け入れられるようになり、同社は信頼性の高いブランドとしての地位を確立ていくことになったのです。
とてもコンパクトだった創業だったカーハートも、1910年頃には8つの縫製工場と2つの紡績工場を持つまでの規模になっていました。
この頃、社名を「ハミルトン・カーハート・コットンミルズ」に変更しています。
さらに、カーハートは製品の市場拡大にも力を入れ、全国の作業服を扱う店舗に販売網を広げていきます。
次第にカーハートの製品がアメリカ全土で知られるようになり、特に南北戦争の影響で労働者が増加していた影響も重なって、その需要は急増しました。
カーハートは広報戦略を強化し、カタログを発行することで、製品の魅力を広めていきました。これにより、多くの労働者がカーハートのブランドを知り、信頼するようになりました。
これらの成功を受けて、カーハートは業界内での立ち位置を強固にし、後の成長への土台を築きました。
成長期とブランドの確立
カーハートは創業から数十年の間に、様々な変遷を経て成長を遂げ、アメリカンワークウェアの象徴となりました。この成長期は特に、労働者のニーズを的確に捉えたデザインと市場への進出によって支えられたのです。
ワークブランドとしての意思表示
1935年頃から、カーハートは、自社製品の購入者にカレンダー付きの手帳を配布します。
配布したって手帳の扉には
「アメリカ労働者諸兄へ」
というタイトルで、上の世代へのリスペクトと労働者の団結を讃える文言を記しました。
これは、当時大きな影響力をもっていた労働組合と労働者の気持ちをがっちりとつかんだエピソードとして語られています。
昇進する労働者向けのデザイン
1966年、お馴染みの「C」ロゴが付いた製品を発売。
1980年代、アメリカの経済は変化の激しい時期に突入していました。
いわゆる大量消費時代への突入です。
この時期、多くの産業で競争の激化がすすむなか、労働者たちも安価で機能的な作業着を求めるようになりました。
カーハートは、こうした市場のニーズを先取りする形でデザインを進化させました。特に、耐久性や機能性に優れた素材を使用し、作業効率を高めることを重視したデザインが支持を集めました。
たとえば、カーハートのダック生地ジャケットは、その頑丈さと暖かさから多くの作業者に愛用されるようになり、寒い地域での作業において抜群のパフォーマンスを発揮しました。
また、安全性を考慮した反射材(リフレクター)を取り入れた商品もラインナップに加えられました。
デザインだけではなくてタフな条件にも耐えられる品質。労働環境に適したラインナップを取り揃えることで、カーハートは多種多様な労働者からの信頼を得ることになったのです。
重要な契約と進出した市場
カーハートの成長を支えたもう一つの要因は、重要な契約の獲得です。
1990年代に入ると、カーハートは建設業、農業、交通など、さまざまな業界と提携し、大口の契約を結ぶことに成功しました。特に、公共交通機関での仕事が多い労働者に向けたワークウェアを提供し、都市交通の安全を支える一翼を担いました。
これによって、人々のなかに
ワークウエア=カーハート
という図式が刷り込まれていきました。
さらには海外市場への進出も進められました。
カーハートはカナダを皮切りに、メキシコ、ヨーロッパなど多様な地域での認知度を高めていきました。
国際的な展開によって、アメリカンワークウェアとしてのブランドイメージが確立され、多くの国でその名を馳せることとなります。
その主な要因のひとつが、1997年にヨーロッパで設立された
Carhartt WIP(Work in progress)
です。
Carhartt WIPはワークウエアという原点をベースに、よりデザイン性に富んだアイテムをラインナップしました。
こうした契約と市場進出を通じて、カーハートは単なる作業着メーカーから、労働者のライフスタイルを支えるブランドへと成長を遂げていきました。時代のトレンドを敏感にキャッチしつつ、常に顧客のニーズに応える姿勢が、ブランドの確立につながったのです。
現代のカーハートとその展望
カーハートはアイコニックなファッションブランドとして、特にアメリカを中心に根強い人気を誇っています。
現代のカーハートは、伝統的な労働者向けのアパレルから、ストリートファッションとしての地位を確立するまで、様々な変化を経験しています。この章では、カーハートの新たなブランド戦略やコラボレーション、そして環境への配慮と社会的責任について探ります。
新たなブランド戦略とコラボレーション
現代のカーハートは、ただの作業服のブランドではなく、ストリートファッションとしても認知される存在へと進化を遂げています。
特に2010年代以降、さまざまなファッションブランドやアーティストとのコラボレーションが相次いで行われ、その名は若者を中心に広がっていきました
。例えば、人気ストリートブランドとのコラボレーションでは、カーハートの機能性を活かしつつ、斬新でスタイリッシュなデザインが加えられ、ファッションアイコンとしての地位を築いています。
これにより、オリジナルの労働者向け製品を求めていたユーザー層と新たなファッション志向のユーザー層の双方にアプローチすることに成功しています。
さらに、SNSを通じたマーケティングにも力を入れています。InstagramやTikTokなどのプラットフォームを活用して、製品を着用したユーザーやインフルエンサーとの連携を強化。また、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を利用したキャンペーンも行われ、顧客とのエンゲージメントを高めています。このようにして、カーハートは新しい世代の消費者にアプローチするための革新的な戦略を展開しているのです。
環境への配慮と社会的責任
現代において、多くのブランドが環境問題や社会的責任について真剣に取り組む中で、カーハートも例外ではありません。近年、リサイクル材料を使用した製品の開発や製造過程における持続可能性を重視する動きが強まっています。例えば、オーガニックコットンやリサイクルポリエステルを使用したアイテムが増えており、消費者からの支持も集めています。
また、カーハートは労働者の権利を尊重し、生産過程において透明性を確保する取り組みを行っています。公正貿易の認証を得た素材を使用することで、労働環境に配慮した製品作りを実践しています。このような取り組みは、環境や社会問題に対して意識の高い消費者にとって大きな価値を持ち、ブランドへの信頼性を高めています。
最後に、コミュニティへの貢献もカーハートの大切な方針の一つです。地域社会への支援活動やチャリティイベントへの参加を通じて、カーハートはリーダーシップを発揮し続けています。これにより、ブランドのイメージを高めるだけでなく、消費者との繋がりを深めることにも成功しています。
このように、現代のカーハートは新たなブランド戦略と環境への配慮を通じて、他のアパレルブランドとは一線を画す存在となっています。今後の展望としても、さらなる革新と社会的責任の履行を通じて、ブランドの成長とその重要性を一層高めていくことが期待されます。