【ディッキーズ 874】の歴史や特徴のまとめ
こんにちは。SWAMP SIDE 佐々木です!
これまで複数回にかけてDickies(ディッキーズ)の歴史や、代名詞的な存在でもあるチノパン【874】についての解説をしてきました。
Dickies(ディッキーズ)は創業期から現在まで、ワーカーに寄り添った製品づくりをベースにしています。
90年代以降はファッションアイテムとしての認知度も高くて、非常に多種多様な人たちに愛されているブランド。※ブランドとしての展開は100ヵ国以上!!
創業期にディッキーズをはじめた2人が自らの足をつかって、国じゅうの労働現場で働く人たちの声を集めてまわりました。この消費者のニーズに寄り添う熱意があったからこそ、ブランドがたくさんの国と地域で愛されてきた理由かもしれません。
ブランドの顔ともいえる定番の【874】は、誕生から50年以上ったった今でも販売され続けています。もともとは、この歴史的名品も労働者のための作業着でした。
シンプルでオーソドックスなデザインの【874】は、80年代後半、サンフランシスコのラッパーたちのユニホームになりました。
T/Cツイルという耐久性に優れた生地と、やや太めで動きやすいシルエットで、スケーターたちからの支持を集めたのも80年代後半。
ストリートカルチャーを牽引する著名人たちが、着用しはじめたことで、一気にファッションアイテムとしても需要が高まりました。
現在でもアーティストをはじめとした、たくさんの著名人が着用していますね。
日本では股上が浅くてシルエットも細めの、ファッション目線を意識した【WD874】も発売しています。
【874】は、時代に迎合してカタチを変えていったのではなくて、その時に必要としている人たちに選ばれてきた製品ともいえます。
ディッキーズの歴史
①創業から1940年代まで
1918年。アメリカ、テキサス州のフォートワースで、いとこ同士でもあるC.N.ウィリアムソンとE.E.ディッキーが《U.S.オーバーオール社》を立ち上げました。
1922年。社名を《Williamson-Dickie Mfg.CO ウィリアムソン−ディッキー製造会社》に変更。第一次世界大戦後終戦がもたらした好景気で、アメリカが文化的にも産業的にも大きな変革を迎えたこの頃に、ワークウエアに特化した製造に一気に路線を変更しました。
創業者のふたりは、国じゅうの労働現場を自らの足で訪ねて、労働者のリアルな声を集めてまわりました。
社名を変更してから1年後の1923年、チノパン【874】の前身モデル【KHAKI】を発売。
労働者の声をもとに作られた【KHAKI】は、労働者人口が爆発的に増えたことによる需要とも重なって、大人気商品になりました。
ニーズに寄り添った、確かな製品づくりが評価されていたディッキーズは、着実にブランドとしてのワークウエアブランドとしての地位を確立。1930年代に起こった世界恐慌による打撃も少なかった、と言われています。
第二次世界大戦下の1940年代。ディッキーズはアメリカ政府からの要請を受けて、陸軍の制服を製造しました。数にすると約900万着!ピークのときは、生産が追いつかなくて、ワークウエアの製造を停止するほどでした。
軍の制服づくりに携わった実績と国から要請を受けたという信頼は、ディッキーズの
ブランドとしての地位を、さらに確立させることになったのです。
②1950年代〜1970年代
・広告戦略の拡大
第二次世界大戦も終結して、軍人たちが国に戻ったことで、労働者人口も増えた1950年代。
ブランドとしての地位も確立されていたディッキーズは、広告戦略に力を注ぎはじめました。
さまざまな広告を打つことで、さらに知名度を上げて、販路をアメリカ全土へと拡大していったのです。
広告のなかには、痩せ型や大柄な男性、様々な作業現場をイメージさせるイラストが描かれていました。現在もブランドポリシーとして継承している
「Fit you…fit your jobs(あなたにも、仕事にもフィットする)」
というキャッチコピーが使われはじめたのもこの頃です。
また、登場回数が多かった、歩いている姿を描いた労働者の男性は、「ウォーキングマン」と呼ばれて、ディッキーズ広告のアイコン的な存在として親しまれたようです。
・世界進出
1950年代の戦後好景気の真っ只中、アメリカは油田事業が盛んでした。アメリカから出稼ぎのために中東に滞在していた労働者の多くが、ディッキーズの作業着を着ていました。
同じように出稼ぎに来ていたヨーロッパの労働者のなかでも話題に。彼らがヨーロッパ各国に持ち帰ったことで、徐々に世界へと知名度が広がっていったそうです。
少しずつ世界各国でも認知されはじめた1960年代。ディッキーズは、アメリカ国内のみならず、南米やカリブ海などの海外にも製造拠点を作りはじめました。
・名作【874】誕生
1967年。創業期からのヒット商品【KHAKI】を進化させた【874】を発売します。
これまで、ブランドを支えつづけてきた【KHAKI】をベースに、「縮みにくい」「汚れがつきにくい」加工を施した【874】は市場を席巻するほどの大ヒットを飛ばしました。
・ファッションとの出会い
60年代にファッションシーンで大ブームになったアイビールック。名門8校で構成された大学の在校生やOBたちがしていたようなコーディネートがアメリカ全土に広がりました。
彼らはボタンダウンシャツとチノパン(コットンパンツ)のうえにブレザーを羽織る。休日はポロシャツにチノパンでテニスを楽しむ。知性と清潔感を重要視する流行のスタイルにも、受け入れられたのです。
【874】に使用した〈T/Cツイル〉生地は使用できるカラーが多いことも特徴でした。60年代後半から70年代にかけて起こったヒッピームーブメントのなかで、色とりどりの服に身をつつむ彼や彼女らは、カラフルなパンツを楽しみました。
この頃のディキーズは、他のブランドもそうだったように、70sらしいデザイン性に富んだアイテムも発売しています。
ワークウエアブランドと並行して、徐々にファッション業界への進出を意識しはじめた頃といえます。
③1980年代〜現在
70年代から、ファッション業界への進出もはじめたディッキーズ。
80年代後半になると、カリフォルニアのラッパーたちが着用しはじめました。
同じころ、やや厚地で耐久性に優れているディッキーズを、スケーターたちが取り入れだします。
このふたつのシーンでの盛り上がりを背景に、ディッキーズは徐々にストリートでも頭角を表すようになりました。
90年代以降、日本ではストリートファッションが流行。メロコアブームも起こり、そのなかでも中心的なバンドであったHi-STANDARD のメンバーが着用していたことなどから、爆発的な拡がりをみせました。
ファッションアイテムとしても確実な地位を築きあげた2000年代以降は、さまざまなブランドとのコラボや日本規格品など、ファッション要素が強いものが広く展開されるようになってきました。
ディッキーズ874の特徴
①生地
ディッキーズ製品の多くは《T/Cツイル》という、コットンとポリエステルで構成されたツイル織(綾織)の混紡生地です。
《T/Cツイル》は縮みにくくて破れにくい、ワークウエアに使用されることが多い生地。
シワになりにくく、タフに使用するワーカーたちにとっては、毎日の洗濯も気兼ねなくできるのも利点です。
また、スコッチガードという汚れをつきにくくする加工が施されています。
②サイズ感とシルエット
・サイズ感
ディッキーズ874を購入するときに必ず知っておいてほしいことのひとつは
「個体差がある」
ということです。
これは、ベースとなるなサイズ基準はありますが、さまざまな国と地域で生産されているために縫製にムラが出てしまうからです。
・シルエット
874はややゆとりのあるストレートシルエットです。
しかしながら、ウエストが1インチ(⒉54cm)ごと大きくなるのに対して、ほかの一般的に採寸する箇所(わたり、すそ)は、サイズの上昇幅が小さいです。
すそ幅にいたっては、ウエスト28インチから34までは、同じ23cmです。
そのため、必然的にサイズごとにシルエットが微妙に違ってしまいます。
・カラー展開が多い
ディッキーズ874はカラーが多いのも特徴です。
これは、色染めがしやすく、色の再現性も高い《T/Cツイル》という生地を使用しているから。
シチュエーションや気分に合わせて、何色か持っていても良いかもしれませんね。
買うときの注意点
・はじめて買うときは試着をしてからがベター
ディッキーズをはじめて買う人は、なるべく試着をしてからの購入をオススメします。
ディッキーズはドン・キホーテやコストコ、古着屋などの取扱店が多いのも特徴です。自分好みのシルエットやサイズ感がイメージできない場合は、実際のお店に行って試着後、納得してからの購入をしたほうが失敗しません。
・インターネットで買う場合は、普段より1サイズ〜大きめを買いましょう
インターネットでサクッと買いたい!というひとは、ふだん穿いているサイズよりも1サイズ大きめの購入がベターです。
それは、個体差があることと、874はウエストがやや小さめに作られている傾向にあるということ。くわえて、伸縮性のない生地を使用しているので、ジャストめで穿きたい人は1サイズアップ。ラフに穿きたい人は2サイズ以上アップして購入すると良いです。
ディッキーズ 874素晴らしさ
なんといってもインターネットで探せば4000円程度から手に入るという手軽さは魅力的ですね。
販売店が多いので、ほしいと思ったらだいたい買えます。
サイズは、ほとんどの体型の人をカバーする展開の多さです。
服の自由度が高い職場や、子供と公園に行くときやハイキングなどアクティブなシーンの時にも穿ける。
探す手間もかからないうえに安くて丈夫。色もサイズも沢山ある。歴史のあるブランドで廃れない。ファッションアイテムとしても認知度がある。
こんなに汎用性が高いアイテムはなかなかありません。
ぼく自身も、普段着としても仕事着としても着用しています。20年前に4000円程度で買った874が、いまだに現役で活躍してくれています。
一本とはいわずに、何本か持っておいても損はないかと思います!
それでは、また!